漫画の創作において、ネームの作業時間を短縮する方法を紹介します。
漫画の創作プロセスでは、ネームは重要な工程ですが、時間がかかりすぎると他の作業に影響が出てしまいます。
そこで、効率的にネームを作るための9つのコツを紹介します。
物語のプロットを作るときに、どのくらいのページ数で描くかをあらかじめ決めておきます。
これは、ストーリーのテンポやページオーバーを防ぐためです。
例えば、
というように、どのページでどんな展開やシーンを描くかを明確にしておきます。
これによって、ネームを作るときに目標がはっきりしているので迷わなくなり、ネーム作業時間が短くなります。
本番のネームの前に、一枚の紙に8pや16pや32p分の小さなネームを作っておきます。
これは、本番のネームの概要やガイドラインとして使うものです。
通常のストーリー作りでは、
プロット⇒ネーム
という流れですが、
それを
プロット⇒ミニネーム⇒本番ネーム
という流れにします。
ミニネームがあると、本番のネームを作るときに参考にできるので、スムーズに進みます。
また、ミニネームでは修正も簡単にできます。
小さく描いているので、構図やキャラの表情などを変えたいときもすぐにできます。
さらに、プロットで考えたアイデアやネタが絵やシーンにするとどれくらいのコマ数になるかや、話のテンポや見せ方も一目で分かります。
これらのことから、本番のネームで修正する必要が減ります。
その分、ネーム作業時間も短くなります。
ネームを作るときに、キャラクターなどを詳細に描こうとしたり、斬新な構図にしようとしたりして時間がかかってしまう人がいます。
しかし、ネーム段階では絵や構図はあまり重要ではありません。
後で修正する可能性もあるし、本番ではもっと細かく描くことになります。
だから、ネーム段階ではキャラクターは棒人間や○×でもいいし、背景は省略したり一コマだけ入れたりしてもいいです。
大事なのは、ストーリーやシーンの流れやキャラクターの感情や動きです。
それらが伝われば、絵や構図はあまり気にしなくてもいいです。
そうすれば、ネーム作業時間はかなり短くなります。
絵を描かずにネームを作る方法です。
セリフとコマ割りだけでネームを構成します。
この方法の利点は、絵にかける時間と労力がほとんどなくなるので、ネームの作業が早くなることです。
コマ割りは、コマのサイズでそのコマの重みを表現するようにします。
セリフのないコマは、簡単な説明文で内容を示します。
コマの中のシーンや絵は、セリフから想像できるように頭の中で補完します。
この方法は修正もとても楽になります。
絵は最後にまとめて描くという感じです。
ネームを最初から順番通りにきっちりと作っていくことが、作業を遅らせている原因になっているかもしれません。
自分が一番描きたくなるシーンを先にネームで仕上げておくことも作業効率を上げるテクニックの一つです。
物語で描きたいものから描くことでやる気も高まりますし、そのシーンに何コマや何ページ使うかも予測できます。
作品のページ数が決まっている場合、こうすることで描きたいシーンのページ数は確保できて、他のシーンではページ数を削ったり必要ないシーンは省いたりして、全体のバランスを調整したりもできます。
最初から順番通りに作ることの欠点として大きいのは、ストーリーの始まりの部分が一番難しく悩むところだということです。
物語のスタート地点は、そこで読者の興味を引いてストーリー世界に誘うために重要なパートです。
最後まで修正や改善をする可能性が高いパートです。
だから、考え込んでしまってネームが進まなくなることがあるんですね。
だから、描きたいシーンを先に作ってしまうこともネームの速さを出すコツの一つです。
最初にクライマックスや結末というストーリーのゴールを決めておくという方法です。
ゴールが決まっていれば、そこに向かってストーリー展開が進んでいきます。
結果から逆算してネームを作っていくので効率的で時間節約になる方法の一つです。
ネームを作りながら、アイデアやネタを追加していくと、ストーリーの方向性が変わってしまったり、何がしたかったのか忘れてしまう話になる人には有効です。
最初に動かないゴールを作っておくことで、ネームで迷う時間が減らせるのでネーム効率も上がります。
次のコツは、セリフを絵で表現できないか検討してみることです。
ネームを見ていくと、セリフで長々と話して説明していたり、説明文などの文字で状況を伝えようとしている場面が出てきます。
例えば、怒っているキャラをセリフで怒っていると伝えていたりする場面です。
また、物語の世界観を文字で長々と説明しているような部分です。
そのようなセリフや説明文を絵で表現できないか考えてみることです。
この絵で表現できないかの視点でネームをチェックすると、より漫画らしいすっきりしたわかりやすい表現になることがあります。
ネームは最初に仕上げることを目指すのが大切です。
ネームを作っていると、細かいところが気になって前に戻って修正しようとしたり、自分の判断が曖昧になったり時間がかかりすぎてしまうことがあります。
そんな風になりやすい人は、まずは一通りネームを完成させることを心がけましょう。
その後に、そのネームを参考にして、もう一度ネームを作り直すとネームの完成までの時間が短縮できますし、質も高くなります。
仮にネームを完成させることでストーリー全体の流れやバランスを確認できるのもメリットです。
一部分だけ見ていると悪く感じたところも、全体で見るとそこまで悪くない場合もあります。
逆に、この部分は良いと思っていたところも、全体で見ると違和感があったりおかしくなったりする場合もあります。
だから、完璧主義は捨てて最初はネームを仮に完成させてしまうことです。
これがネームのスピードアップに役立ちます。
集中できる環境を作ることです。
ネームなどの創造的な作業は集中力が必要ですが、周りの環境がその作業を邪魔している可能性があります。
色々な気分転換や暇つぶしのものがネーム作業の邪魔をしてきます。
例えば、スマホ、ネット、ゲーム、TV、漫画、雑誌、などです。
それらについ手を出してしまうとネーム作業が中断されてしまいます。
また、周りに気分転換のものがあっても、それに耐えてネーム作業することは精神的に疲れます。
人間は周りの環境によって影響されやすいものです。
だから、ネームに集中するためには、机の上を整理したり、ゲームやネットを使えなくしたり、図書館やカフェなどの場所を変えてみたりすることが効果的です。
他にやることがない状況でネーム作業に集中すると、驚くほど効率的に作業が進みます。
気分転換や暇つぶしのものを避ける環境を自分で作ることで、ネーム作業のスピードは大幅にアップします。
ネーム作業のスピードアップするコツを紹介しました。
まとめると、
1:ページ数を事前に決める
2:ミニネームを作る
3:絵や構図にこだわらない
4:絵は入れない
5:描きたいシーンから作る
6:結末、クライマックスから作る
7:セリフや文字を絵で表せないか
8:最初は仮に完成させる
9:集中できる環境を作る
という9つの方法です。
ネーム作業が遅いと悩んでいる人はこの方法の中から試してみてください。
ネーム作業のスピードアップに役立つと思います。