キャラクター作りにおいて、深みや魅力を感じさせることは重要です。
しかし、漫画などの創作物において、キャラクターを作ったり、物語の中で動かしたりするときに、そのキャラクターが平面的で印象に残らないと感じることがあります。
多くの創作者はこのような悩みを抱えていると思います。
そこで今回は、キャラクター作りのコツとして、キャラクターの魅力を引き出す方法を紹介します。
漫画を読者に楽しんでもらうために最も大切なことは、読者が物語に『感情移入』できることです。
感情移入できない物語の大きな原因のひとつは、読者が主人公やその他の重要なキャラクターに対して共感や興味を持てないことです。
読者はキャラクターの気持ちになって物語を体験し、面白さを感じます。
だからこそ、感情移入できるキャラクターを作ることは、作品の魅力を高めるために不可欠です。
キャラクターに共感や興味を持てない理由のひとつは、キャラクターの創作者である作者自身が、そのキャラクターを十分に理解していないことです。
あるいは、物語を作る前に、キャラクターについてあまり考えずに、適当に作ってしまったことです。
その結果、キャラクターが浅くて人間味がなく、読者から見てもつまらない存在になってしまうのです。
「ではどうすればいいのか?」という疑問が湧いてくるでしょう。
キャラクターを深く理解し、魅力的にする方法のひとつが、『キャラクターのプロフィールや経歴作り』です。
これはキャラクター作りの一環として、しっかりと行っておくべきことです。
キャラクターのプロフィールや経歴を作ることで、そのキャラクターが持つ物語本編では見えない部分が明確になります。
それによって、キャラクターの存在感が強まり、生き生きとした人間としての魅力が出てきます。
また物語作りの前に、キャラクターのプロフィールや経歴を作っておくことで、そのキャラクターの外見や雰囲気がイメージしやすくなったり、
またそのキャラクターが物語の中でどんな行動をするかや、どんなストーリーやエピソードが生まれるかなど、物語作りに役立つヒントを得ることができたりします。
キャラクターを作り込むことは、創作において多くのメリットをもたらします。
ではどんなことをキャラクターのプロフィールとして考えると、キャラクターの魅力や人間性が増し、読者に共感されるようになるのでしょうか?
これはそのキャラクターの人間としての独自の性格や傾向といったものです。
例えば、
などです。
この人間性の癖を把握することで、キャラクターの核となる部分が定まります。
そのキャラクターはどんな口調で話しますか?
方言や敬語、カジュアルな言葉遣いなど、口調はキャラクターのイメージを大きく左右します。
また語尾に特徴的な癖はありませんか?
「~だよね」や「~だわ」や「~だぜ」といった、口癖もキャラクターの個性を表す要素です。
そのキャラクターはどんなしぐさをしますか?
手振りや表情、仕草など、しぐさにもキャラクターの性格が現れます。
例えば、
などです。
癖全般はキャラクターの個性が端的に現れるものなので、癖はキャラクターを深める要素として重要です。
そのキャラがどんな劣等感やコンプレックスを抱えているかによって、キャラの個性は大きく異なります。
劣等感をどれくらい克服しようとしているか?
あるいは克服できそうにないのか?
劣等感の程度を○%という形でパラメーターで示しておくと
作者は視覚的に把握しやすくなります。
現実では劣等感のない人物はほとんど存在しないので、劣等感やコンプレックスという部分を作り出してあげることで、キャラクターに感情移入しやすくなったり現実にいそうな印象が一気に高まります。
人生は夢や目標に向かって流れていきます。
そのキャラがどんな夢を持っているかによって、これまでの人生で歩んできた過程やこれから進んでいく方向性が見えてきます。
どんな夢を持っているかによってストーリーの原型が浮かび上がってくることもあります。
どういう人物を尊敬しているでしょうか?
作ったキャラクターに尊敬する人物がいる場合、その尊敬する人物から大きな影響を受けている場合があります。
どういう人を尊敬しているのかということで、そのキャラがどういうキャラクターなのかも見えてきます。
父親、母親との関係や態度はどういうものでしょうか?
父親や母親からの影響は思わぬほど大きいものです。
幼少期からの父母が与えてくれた家庭環境によって、そのキャラ独自の性格や考え方が形成されている場合があります。
そのキャラが父と母とはどういう関係なのかを考えてみると、キャラクターへの親の影響が見えてきます。
友人関係はどういうものでしょうか?
一般的にどういう友人や交友関係を持っているかによって、その人がどういう人なのかがわかると言われます。
そのキャラクターの性格や行動が、どういう人と関わっているのかということから見えてくることがあります。
そのキャラはどういう異性のタイプが好きですか?
また嫌いなタイプはどういう異性でしょうか?
好きな異性タイプを考えてみると、そのキャラクターの一面が見えてきます。
今までどういう恋愛をしてきたのか?
また付き合ってきた人はどういう人だったのか?
どういうことをしたのか、されたのか?
後悔しているのか、いい思い出として感謝しているのか?
過去の恋愛の経験からキャラを眺めてみると、キャラのイメージがしっかりしてきます。
過去にインパクトある出来事を起こしていませんか?
またどういうインパクトあることをやっていたのでしょうか?
そのことで周りに与えた影響はどういうものだったのか?
その過去のやったことを、自分は今どう思っているのか?
そのキャラの過去に起こったインパクトある出来事や、やってきたことからキャラのイメージをより深めます。
どういう恥ずかしい過去を持っていますか?
絶対に隠したい黒歴史はありますか?
その過去によりキャラに現在はどういう影響がありますか?
当時は平気だったとしても、時が経ってみればそのことが隠したい過去に変わっていることもあります。
その恥ずかしい過去からキャラを見てみます。
何を恐れているか、怖がっているかです。
恐れているものがそのキャラの行動を制約したり、人間性に影響を与えます。
イケメンで金持ちでも、暗く狭いところに恐怖してパニックになるなどですね。
人は恐怖してるものによって時に予想外の行動をとります。
誰にも内緒で密かに集めているものがありますか?
そのコレクションしているものにキャラクター性や隠されたバックストーリーがあるかもしれません。
やる気が沸く『時』はどんな時ですか?
テンションが高まる『もの』はどんなものですか?
他人から見れば些細なことでも自分にとっては大切なことになることがあります。
その瞬間を思い浮かべると、そのキャラの性格をもっと掴めます。
やる気が失せる『時』はどんな時ですか?
テンションが低くなる『もの』はどんなものですか?
ここもそのキャラだからこそ、見せる特徴がある部分です。
そのキャラはどういう方法でお金や収入を得ていますか?
お小遣いはどのくらいもらっていますか?
バイトや仕事でお金を稼いでいるのですか?
物語がファンタジー世界なら、どんな仕組みで収入が発生していますか?
お金を得る方法を具体的に考えると、キャラの生活感が出てきてよりリアルな人物像になります。
休みの日はどんな風に過ごしていますか?
休みの日の過ごし方にそのキャラの個性が表れます。
家で静かに一人で過ごして元気を回復するタイプか、仲間と集まって楽しくやってストレスを解消するタイプなのか。
休日の過ごし方は人それぞれ違うパターンをとります。
その自由時間の過ごし方にキャラクターの本質が隠れています。
そのキャラが普段はどんなものを食べているのかを考えることで、キャラの生活が見えてきます。
どんな食事が好きなのか、またどんな時間帯に食べていたりするのか?
外食ばかりなのか、コンビニ弁当で済ませているのか?
生きていくためには食事は必要不可欠で、ロボットでなければそのキャラもその世界で食事をしているはずです。
普段私達も毎日食事はしています。
食事は身近なものだからこそ、その食事していることを具体的に考えることでキャラの存在感が増します。
どんな趣味を持っていますか?
趣味の部分もそのキャラの個性が表れる部分です。
どんな趣味を持っているかによって休日の過ごし方も変わってきそうですし、そのキャラの夢や集めているものにも関係しそうです。
キャラクターの魅力を引き出す、プロフィールや経歴作りのポイントを紹介しました。
今回紹介したキャラのプロフィール作りをすると、キャラクターの深さを創り出すメリット以外にも効果があります。
そのアイデアを展開することで次の物語の基礎になったりします。
キャラクター作りから、新しいストーリーが生まれてくるわけですね。
一石二鳥です。
作者がキャラを深く理解しその魅力を引き出しながら、ストーリーの原型も発見できるという2つのメリットがあるので、プロフィール作りはオススメです。
でも、この方法でたくさんのキャラを作っていくと、自分の作り手としての課題も見えてきます。
それは項目に答えることのバリエーションが似たようなものになってしまうことです。
その原因はその質問に答えるための豊かな知識や経験、また人間観察の足りなさから来るものです。
だから世の中にどんな人物が存在するのかという、観察する目を鍛えていく必要があります。
その鍛える方法は、色々あります。
人間の観察や経験を積み重ねることで多様なキャラクターを創造し表現できるようになります。
キャラクターの魅力は作品の価値を高めます。
だから、読者に感動や共感を与えられるような、魅力的なキャラクターを生み出すクリエーターを目指したいですね。