物語の世界観を作るにあたって、どんな設定や背景を考えるかは重要なポイントです。
オリジナリティや斬新さがある世界観は読者の興味を引きますが、どうやってそんな世界観を自分で生み出せるのでしょうか。
ここでは、物語の世界観を作る時に役立つ方法を紹介します。
まずは基本として、思いついたアイデアに対して自分で制約をかけないことが大切です。
どんな奇抜で矛盾したアイデアでも、面白さがあれば問題ありません。
そして常識に縛られないことが大切です。
その発想に制約をかけずにアイデアを出す方法の一つに
『とことんエスカレートさせてみる』
という方法があります。
普通のことや何気ない思いつきでも限界までエスカレートさせてみたら、どんな世界や設定になるのかを想像してみることです。
例えば、
現代では超能力を持っている人はほんの一握りの人だけですが、それが全ての子供に生まれつき何かしらの超能力が備わっている。
そしてその超能力の程度や種類によって人間の価値が決まってくる世界。
さらに世界の国々でどんな強力な超能力者を多く抱えているかで国力や国際関係が変わってくる世界。
こんな感じです。
これは超能力というアイデアをエスカレートさせてみたわけですね。
他にも、
人に運があるというのは多少なりとも誰しもが感じていると思いますが、その人の持っている運を限界までエスカレートさせた時にどんな世界や舞台が生まれるのでしょうか。
このように、ありふれたアイデアでも、限界までエスカレートさせてみたらどんな世界になるのかを考えてみることで、斬新性のある世界観が思いつくことがあります。
平凡で当然なものでも、深掘りして発想を飛躍させてみることで、意外な面白い世界観のアイデアが見つかることがあります。
エスカレートさせて世界観を作る上で、ここで一つのコツがあります。
限界までエスカレートさせてみるということは、
ある意味読者に大きな嘘をつくことになります。
あまりに非現実的すぎたり、中二病くさい発想と思われると、その物語の世界に読者が入り込んでくれなくなるかもしれません。
そこで大きな嘘を受け入れてもらう必要があるんですね。
その大きな嘘を受け入れてもらうのに効果的な方法があります。
それは、細部にリアリズムを持たせるということです。
世界を構成する小さなところにも、本当に存在しそうだ感じる要素を入れておくことですね。
その世界で生きている人々の暮らしや感情はどのようなものか?
その世界の人々が直面している問題はどのようなものか?
その国や組織はどのように統治され営されているのか?
そういった世界観や舞台を構成している、細かいところのリアリズムをしっかりと作り込んでおくことで、大きな嘘も本当のことだ感じられるようになります。
拡大させたアイデアや設定を、本当のことのように感じさせることができるのが細かい部分のリアリズムを追求することなんですね。
その世界観にリアリズムを持たせる上で、さらに有効な方法があります。
それは、その世界や舞台に暮らす人物になりきって『日記を書いてみる』ことです。
日記を書く事によって、どのような細かい部分にリアリズムが必要なのかがわかってきます。
そして、どのような世界なのかもだんだんと明確にしてきます。
この方法は、物語の世界観を外側から客観的に見てみて作っていく方法ではありません。
実際に物語の世界観の内側に入り込み作ってみるという感じです。
世界観に細かいリアリズムを持たせるうえでも有効なので、ぜひその世界の人物になりきって日記を付けてみてください。
次に意外性のある世界観を作り出す方法は、簡単に言うとアイデアをどんどん出して絞り込むということです。
具体的にステップごとに説明していきますね。
まずは小さいカードやポストイットをたくさん準備します。
そこに、最初はどんなくだらない世界観や舞台設定に関するアイデアでも構いません。
書き続けます。
注意したいのは
一枚の小さな紙には一つのアイデアを書く
ということです。
2個も3個も同じ一つの紙に書かないようにします。
もうここではアイデアが出なくなるまで書き続けます。
脳の中が空っぽになるまで、水を含んだタオルを絞って一滴の水ももう出ないというぐらいアイデアを出し尽くします。
連想ゲームのように出したアイデアから連想されるアイデアを、次々を書いていくのも良いですね。
制限や常識は無視してどんなアイデアでもとりあえず書き出しておきます。
脳の中の情報をアウトプットして外に見える形に全部出すという感じです。
この書き出す作業はやってみると分かりますが、発想に制限がないのでだんだん楽しくなってきます。
アイデアを出せば出すほど、新しい発想が数珠つなぎ風に出てくるので脳から快楽物質が出てくる感じになります。
量が質を生むという言葉があります。
アイデアの量を出さないと、良いアイデアは生まれないということです。
野球バッターでもホームランを打つためには数多くの空振りや凡打を打つ必要があります。
数多くのアイデアを出している過程で、質の高いアイデアが生まれることがあるんです。
だから、くだらないアイデアでもとりあえず出しておくことです。
数多くのアイデアを出すことによって初めて良いアイデアが出てくるものなので、平凡なくだらないアイデアを出すことも無駄ではないということですね。
数を出している間にアイデアの当たりが生まれてきます。
色々なアイデアの断片が書かれている紙やポストイットを並べて全体的に見てみます。
どれとどれのアイデアを組み合わせると、新しくて面白く意外性があるアイデアになるだろうか…
そうやって出したアイデアを素材として、組み合わせを色々変えてみて新しいアイデアが生まれないか考えてみます。
くだらないアイデアでも、組み合わせると面白いアイデアになったりします。
どれとどれを組み合わせると面白い化学反応が起こるかを考えてみます。
『A+BでC』を作るという感じです。
ベタなアイデアでも組みわせ次第で、面白いアイデアになるので不思議です。
平凡なアイデアでも『オズボーンのチェックリスト』で変換すると
意外性のあるアイデアに生まれ変わることがあります。
これはアイデアを逆転させたり、拡大させたりして違ったアイデアを得られる方法です。
詳しくはこちらで説明していますので使ってみてください。
この『オズボーンのチェックリスト』も新しいアイデアを作る時に使えるツールです。
ここまでで、世界観や舞台設定に関する多くのアイデアを出しました。
良質なアイデアや斬新な組み合わせで、面白さが増したものも見つかったでしょう。
次に、その中から他の人が思いつきそうなアイデアは排除していきます。
今までにないような驚きのある世界観や舞台設定のアイデアを採用したいなら、このステップが重要です。
まだ誰も使っていないような世界観のアイデアはオリジナル性が高く目を引きます。
だから、出したアイデアを
『他の人も考えそうなアイデアは排除する』
という観点で選別してみると、自分だけの特徴的な世界観を持った物語の舞台を決めることができます。
他の人が思いつかないようなアイデアは価値が高いですからね。
それは世界観や舞台設定だけで読者を惹きつける可能性が高まります。
どうして、その世界観のルールや舞台設定が存在するのでしょうか?
その根拠を想像してみて、原因を探っていきます。
どんなに意外性のある世界観でも、その世界が成り立っているのには何かしらの根拠や原因があるはずです。
その根拠を深く考えていくと、その世界のリアリズムも出てきますし設定で補完すべきことも明らかになります。
根拠をどんどん考えてみることで、さらに新しいアイデアが湧いてくることもあります。
「どうして、どうして、どうして…」
「その根拠は、その根拠は…」
このように、世界観を構築しているアイデアの根拠をどんどん遡って考えてみることです。
そうするとその世界のことがより理解できて、世界観も明確になってきます。
この根拠を深く考えてみることはさらにメリットをもたらします。
それは、その物語の世界や舞台の歴史を創り上げていくことにもなります。
するとその世界観が厚みを持った現実感のあるものになります。
読者がリアリティを感じることができる世界観になるということですね。
ちょっと話がそれますが、かつて存在した高度な文明の崩壊後の世界を描くと非常に自由度の高い使いやすい世界観になります。
SFでもファンタジーでも、失われた魔法やテクノロジーということで、信じられないようなアイデアでもかつては実在したという説明がつきその文明崩壊後の物語世界では成立します。
話がそれました。
このように世界観のルールや舞台の設定がどうして存在するのかを考えることで、驚きのある世界観でもしっかりとした土台を持ったものになってきますよ。
驚きと興味を持たせる世界観を発想する方法を紹介しました。
まとめると、
の3つです。
ストーリーを作る際に最初に世界観をしっかりと決めておくことで、その世界や舞台で活動する主人公や登場人物たちがどんな行動をするか、悩むか、ドラマを生むかその範囲が明確になってきます。
また世界観を作っておかないと、それが原因で後からストーリーに矛盾が生じることもあります。
だから、ストーリーを作る前にしっかりとした世界観を作っておくことが大切です。
さらにこの世界観を決めておくことで物語に登場するキャラクターのタイプやストーリーの方向性が見えてくることもあります。
世界観や舞台設定はストーリー作りの大事な要素の一つです。
だから読者に驚きと興味を持たせる世界観を作れる力を、創作者として身につけたいですね。